事例企業は、5S活動は展開しているが、動作のムダとりや、時間の有効活用に、真剣に取り組んだことがなかった。
ムダや時間に対する意識は薄く、多くの残業時間の発生と、余剰感のある人員体制であった。
その結果、人件費増による収益圧迫が、経営上の課題となっていた。
人の稼働実態は、次のとおり。 ※ワークサンプリングによる分析結果
○ 価値作業 | 34.5% | 材料の加工等 | |
---|---|---|---|
△ 間接作業 | 改善領域 | 38.1% | 段取り・運搬等 |
× 損失作業 | 27.4% | 手待ち・空歩行等 |
ムダ・ロス領域となる、間接作業と損失作業が、人の動きの65.5%を占めていた。
この部分が、改善のターゲットとなるわけだが、価値作業の中にも、「早く・楽に」の改善余地が、数多く潜在化していた。
① 毎日の生産性の数値化
生産量(Kg)÷作業時間によって、毎日の生産性を数値化し、グラフ化した。
② 624件の、小さな改善
現場が困っていることを、ひとつひとつ改善した。小さな改善・微欠陥改善を積み上げた。
③ 32件の、大きな改善
624件の小さな改善で、工場全体の基本レベルを上げた後、生産性を上げるための32件の改善を実施した。改善は8チームで展開し、各チームが4件の大きな改善に取り組んだ。
実質的な活動期間8ヶ月で、28.5%の生産性向上を実現した。
生産性と仕事(生産量)と時間は、次の通り。
製造原価の中で大きなウェイトを占める人件費低減に、取り組むテーマ。
人件費低減だけでなく、社員ウェイトの高い製造部門の活性化を実現することは、会社全体の意識改革にも大きなプラス影響を及ぼす。